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上山道郎 (うえやま みちろう)

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別冊兄弟拳blog
漫画家・上山道郎のラクガキや近況報告
後進の育成についてまじめに考えることもある
俺という漫画家は、もう長いこと、漫画の仕事にアシスタントを使っていません。

 たしか95年の「鉄鋼闘機ガイラ」の連載からですから、
かんがえてみるともう十年近くになります。

人に手伝いを頼まなくなった理由は色々あるのですが、
一番大きな理由は、やはり、アシスタントという人材を確保することに本質的に潜む不安定さのためです。

どういうことかというと。

 俺個人が、自分の原稿の手伝いを頼みたいのは、どういう人材か。
それはやはり、いつかは自分の作品で世の中に出たいという、
そういう向上心を持った人です。
向上心のない人間とは、一緒に仕事は出来ません。
そういう人間は、いっこうに上達しないし、いくら言っても同じ失敗を繰り返し、実務的にも使い物にならないからです。

たいして向上心のある人は、仕事の上達も早いし、自分の知っていることを教え甲斐があります。
なにより熱意のある人は、いっしょにいて楽しい。
ともに仕事をするなら、そういうひとにかぎります。

が、しかし。
本質的な問題というのは、そこです。

上達して欲しくていろいろ教えたら、期待通りに上達してくれて、独り立ちしてくれたとすると、
当然その人にはもう、アシスタントの仕事を頼めなくなるわけです。

そうなったら、また新しい人材をさがさないといけない。
熱意と向上心があって、技術もそこそこあって、でもまだ独り立ちしていないひとを。

実際問題、そんな人材が、都合良くそのへんにゴロゴロしているわけはないのです。

だから、俺はアシスタントを使うことはすっぱりやめて、
一人で原稿を製作するための方法を模索し、それなりに実現してきました。

そのことでだれかに迷惑をかけたことはない(はず)ので、そのこと自体を恥じ入るつもりはまったくないのですが。

最近…つまり、
三十路を越えて、漫画家として中堅どころの立場になってくると、
じぶんひとりだけよければいいのか?という葛藤がこころのなかでおこってきているのです。

漫画家がアシスタントをつかうということには、手伝いということのほかに、若い才能の育成、という意味が、たしかにあるのです。

俺自身も、デビュー前には何人かの先輩作家(おもに樫本学ヴ先生)のお手伝いに行きました。
そこで、プロの漫画家の仕事というものを身体で感じ、多くのことを学ばせてもらいました。
そのことについての恩義・感謝の念というものは、いまでも強くあります。
むしろ年を重ねるごとに、強くなってさえいきます。


だからじぶんが、一人で漫画を描くことについて、プライドと共に、若干の後ろめたさも感じているのは、たしかなのです。

自分には、若い人を育成するだけの力があるとうぬぼれているわけではないのです。
むしろ、ないでしょう。その種類のちからは。

しかしそれでも、大げさな言い方をすれば、日本の漫画界そのものにたいする恩義を返すという意味で、
漫画家を志す若い人たちに、なにかしらのものをつたえていく責任がじぶんにはあるのではないか…。

最近とくに、そんなことを考えています。


現実をみれば、他人の心配をする前にまず自分の尻に着いた火をどうにかしろって話なんですけど。
えらそうなことは、どっかで連載して、一発当ててから言えと。
でも、自分の仕事に余裕が出来てから、なんてことを考えていたら、いつまでたってもなにもできないだろうなと、そうも思うのですよ。
FI782240_0E.jpg
AUTHOR: 黄金の名無し DATE: 12/13/2004 19:01:12 。゚(゚´Д`゚)゚。j えーん、イラストがない・・・。

しかし上山さんは真面目だなあ・・・。器用貧乏というコトバを思い出します。

絵の技術はすごく高いレベルなのに・・・。惜しいです。江川達也や遊人のような
「割り切り」があればもっと成功しているはず・・・でも成功だけが人生じゃないから
ですね。

コミックスが1000万部売れるような作家になるより今の無欲な上山さんが俺は好きです。。。
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この記事に対するコメント

初めまして。
僕も今マンガ描かせてもらっててアシは無しでやってます。やはり諸々理由があるのですが自分の過去にも「良き先輩」に助けられた経験を思うと悩む物が多いです。
【2004/12/14 06:46】 URL | はりたま #79D/WHSg [ 編集]


>江川達也や遊人のような「割り切り」があればもっと成功しているはず・・・
「割り切って」売れる漫画を描く、というのは、それはそれで明らかな才能です。
「描こうと思えば描けるけど、かかない」のではなく、俺にはああいう売れる漫画は、ほんとうに「描けない」のです。

>難しい問題
おれとしては、誰かに技術的なことを教えるとか、そういうことを考えているわけではなくて、
ただ漫画家の「現場」というものに、若い人が実際に触れる機会を提供するべきなのかと、
そういう点を悩んでいます。
細かい技術というのは、どのみち「教える」・「教わる」ものではなく、本人が「学ぶ」ものですから。

>はりたまさん
はじめまして。
もしかして、針玉さんですか?
「くらクラ」みてます。
ちがってたらすいません。
【2004/12/14 20:14】 URL | 上山道郎 #79D/WHSg [ 編集]


あ、見ていただいてたんですか?わざわざすいません。ありがとうございます。後日ご挨拶お送りします。
【2004/12/16 07:46】 URL | はりたま #79D/WHSg [ 編集]


「売れる」漫画に才能は必要なのでしょうか?(´-ω-`)

かつて江川達也氏が本宮ひろし氏のアシをやっていた時、作品を見せた時に
本宮氏が一言、「江川君、この漫画売れるのか?」

漫画は商材であり市場が受け入れてくれて初めて売上になり、出版社も漫画家も
ウハウハとなるのです。「これが売れるだろう」というのが当たるとは限らずむしろ
ハズす、スベるというのが大半ですが漫画ではそんなに難しくないと思います。
なぜなら今の漫画は「萌え」が大勢を占めており、ヲタを瞬間的に騙せば小金は
入ってくるしくみが確立されているからです。そして上山さんの画力ならヲタを騙す
くらいはワケはないと思われます。

しかし、上山さんは誠実過ぎてそれは無理だろうというのが私の結論です。
でもお金持ちにもなって欲しい・・・。HPから滲み出る「誠実さ」から余計にそう
思うのです。くそう、世の中め。
【2004/12/16 15:52】 URL | 黄金の名無し #79D/WHSg [ 編集]


売れない、なんてこと、絶対ないと思います!
【2011/05/26 17:37】 URL | ぶん #fjs9xm06 [ 編集]


はじめまして、ツマヌダ格闘街で上山さんをはじめて知りました
正直今一番続きを楽しみにしている漫画です

二つ前の記事にちょっとというかたくさんいいたいこともあったのですが
書いてる途中にそのむなしさに気づいてやめました、こういう人は自分が失礼なことを
言っているって事に気づかないんでしょうか?
【2011/11/15 16:37】 URL | 無記名 #- [ 編集]


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