
職業柄、けっこう読書をするほうな人間であるところの俺ですが。 読む本のジャンルは、おおむねノンフィクションや科学関係の本(ブルーバックスとか) に偏ってます。 きのうの日記には小説を読んだ話をしましたが、これはむしろ例外。 なぜか。 小説を読むのが嫌いなわけではありません。 ただ、楽しむための読書に割ける時間が、あんまり無いということです。
漫画を描くことに限らず、創作をするということは、自分の得ている情報を組み合わせ て、あらたな情報価値を生み出すことだと言えます。 一番大切なのは、持っている情報をどう組み合わせるかと言うことですが、もちろん、ど んな情報を持っているかと言うことも、重要になります。 そんなわけで漫画家は、あらたなネタ(情報)を仕入れることに日々余念がないわけです が、では、なにからそれを得るべきか。 できるだけ質の良い情報を効率よく得るためには、どうすべきでしょうか。 情報の質をはかる指標として、よく使われる尺度は「鮮度」ですが、俺が個人的に重視し ているのは情報の「純度=栄養価」です。 まあ、これは俺が勝手に定めた尺度ですけど。
もっとも栄養価の高い情報は、「現実」です。 五感すべてを使って得る情報が、やはりもっとも大きくて、実のある情報といえます。 問題は、人間が一生の間に得られる「現実」は質・量ともに極めて限られていることで す。 殺し屋の物語を書きたいからといって、実際に人を殺すわけにもいきません。
したがって、多くの場合、作家が得る情報は書物を通じての取材と言うことになりま す。 その書物も、できるだけ、事実を客観的に記したものであることが望ましい。 自伝や評伝といったノンフィクションを読むことが多くなるのは、そのためです。
小説や漫画からも、もちろん多くの情報を得ることは出来ますがそれは、面白く読める ように作家というフィルタを通じて編集された、いわば、調理済みの情報です。 つまりそのぶん、情報の栄養価は低くなってしまっているわけです。
小説や漫画を読むのは楽しいことですが、そればかりでは、自分で新たな物語を生み出 すためには、まったく栄養が足りないわけです。
面白い漫画を描くためには、面白い漫画を読む時間を存分に取るわけにはいかない。 つまり漫画家とは、そういう因果な商売なわけですな。
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